ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』感想・レポ・レビュー

感想・レビュー

大人のブラックラブコメディ『リトル・ナイト・ミュージック』のあらすじ



「リトル・ナイト・ミュージック」は、ちょっぴり大人のブラックラブコメディ

中年弁護士のフレデリックは18歳の若妻アンと再婚した新婚ホヤホヤなのですが、まだ経験の無いアンになかなか手を出せずにいます。そしてアン自身もフレデリックと一夜を共にする事になかなか勇気が出ずにいます。
そんなある日、大女優デジレの舞台を2人で観に行く事になったアンとフレデリック。その前夜にフレデリックが寝言で「デジレ…」と呟いたのをアンが聞いてしまい、不信感を抱きます。
そう、デジレは実は昔フレデリックと恋仲だったのです。

昔の恋人と再会し、アンへの欲求不満を募らせていたフレデリックはデジレの元を訪ねますが、なんとそこでアンの今の恋人カールマグナスと鉢合わせてしまいます。
カールマグナスには妻があり、アンとの関係は妻も知っているという歪んだ関係。しかしカールマグナス夫人シャーロットは内心夫の事を憎んでいました。

フレデリックとデジレの関係に疑いを抱いたカールマグナスはシャーロットにフレデリックの事を調べさせます。
そしてアンの住むフレデリック邸を訪ねたシャーロットは、アンと共にデジレに旦那を取られた事を嘆き・・・

というストーリーです。
ここまで読んだだけでもドロドロの予感しかしないですね。実際のところ「すったもんだ」だらけのお話でした。


『リトル・ナイト・ミュージック』の感想

とにかくストーリーがひどい(良い意味で)

大人のブラックラブコメディと謳われていますが、そのキャッチコピーの通り、昼ドラもビックリのドロドロなストーリーでした。
しかし、ドロドロ感をほとんど感じさせないテイストで描かれていて、そこがなんとも巧妙でした。

新婚ホヤホヤなのに新妻と一夜が過ごせずムラムラしてしまい、昔の女にすがってしまうフレデリック。

妻にも堂々と愛人との関係を公言し、それこそが男のステータスだとすら言い放つカールマグナス。

女性を神格化するかのように高すぎる憧れを抱き、男女の痴情をひたすら軽蔑するチェリーボーイ、ヘンリック。

なんとも情けない男どもばかりが登場し、甲斐性無しだし、身勝手だし、本当にしょうもない奴らだな、と呆れるばかりでした。

そして彼ら、最後には痛い目を見るかなと期待させておいて、なんやかんやで女性たちが受け入れてしまって「一件落着」で終了してしまうのです。
もうっ!アンタたちが甘すぎるからヘタレ男がのさばるんよ!と言いたくなってしまいました。

このイライラ感、モヤモヤ感を煽られるストーリーが、作者が狙ったものだったとしたら、完全にその手中に落ちたといったところでしょうか。
描き方は、本当に見事なまでの緻密さとリアリティをもっていて、話の中にずぶずぶと引き込まれてしまいました。

切ない大人の哀愁ソングが胸を打つ大竹さんの歌声

主役デジレを務めた大竹しのぶさんが、2幕で「若かった頃は色々奔放に愛や恋に生きたけれど、今はこうしてたったひとりぼっちで、おかしいでしょ、笑っちゃうわよね。まるでピエロよ」といった雰囲気でやや自嘲的に歌う曲があるのですが、これがとても良い味を出していました。
胸にズシンとくるような印象で、大竹さんの少しかすれた歌声と、か細いんだけれど芯がピンと張っているメロディが、なんとも言えない哀愁を醸し出していました。

バックで流れるチェロの生演奏も心の琴線に触れるような音色で、大竹さんの歌声とマッチしていて、この曲に関しては本当に記憶に残る名曲でした。

安蘭けいさんから滲み出るものすごい気品

伯爵夫人という役柄だったからかもしれませんが、シャーロット役の安蘭けいさんの気品がほとばしっていて、目を奪われました。
宝塚時代に鍛えられたのでしょうか、腕の持ち上げ方、手の動き、体の動かし方、何をとっても何ひとつ無駄な動きが無く、ただ一言「美しい」だけでした。
カーテンコールでもおひとりだけ別格の気品で、目を引く存在でした。

歌声も安定感バツグンでしたし、群を抜いていましたね。
宝塚男役時代の安蘭さんは生では拝見していないのですが、気品ある女性役がこんなにハマるとは思わず、お見それいたしました。


公演データ

〔上演劇場〕
日生劇場
梅田芸術劇場

〔上演期間〕
2018年4月8日~5月20日

〔キャスト〕
デジレ…大竹しのぶ
フレデリック…風間杜夫
アン…蓮佛美沙子
シャーロット…安蘭けい
カールマグナス…栗原英雄
ヘンリック…ウエンツ瑛士
アダム・アームフェルト…木野花

ペンネーム:emiglia
好きな舞台のジャンル:ミュージカル
ひとこと:劇団四季や宝塚が大好きです。舞台だからこそ感じられるキャストさんの息遣いが観劇の魅力です!

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