劇団四季ミュージカル『王様の耳はロバの耳』感想・レポ・レビュー

感想・レビュー

「王様の耳はロバの耳」はギリシア神話に含まれる寓話をミュージカル化したものです。かの有名な歌人で劇作家の寺山修司が書き下ろしています。調べて見ると初演は1965年であり、かなり歴史のあるミュージカルです。
現在劇団四季で上演されているこのミュージカルはいわゆるファミリーミュージカルです。
この劇団四季の「こころの劇場」は演劇を通し、子供達に「生命の大切さ」や「人を思いやる心」を伝えることを目的とした取り組みです。
劇団四季の公演といえば各都市の専用劇場でのロングラン公演が通常ですが、ファミリーミュージカルは地方の劇場やホールなどでも公演されます。地元のホールで観劇しましたが、見事にチケットは完売、ホール内も多くの子供連れで賑わっていました。



『王様の耳はロバの耳』を観劇して

ミュージカル全体の感想としては「さすが劇団四季!」の一言につきます。子供向けらしい教訓的な内容にはなっていますが、大人も考えさせられる奥深いミュージカルです。登場人物や舞台、歌などは絵本のような可愛らしい雰囲気でとても癒されます。
悪役達もどこかおかしくて憎めないキャラクターになっています。ただし悪い王様は轟くような重低音の声で、あまりの迫真の演技に泣き出す子もいるほどでした。
そして私が一番惹かれたのは可愛らしい森の妖精達です。華麗に舞いながら鈴のような声で美しい歌声を披露してくれるので、まるで本物の妖精のようでした。
子供達を対象にしたミュージカルですが歌やダンスに子供騙し等は一切ありません。特にバレエの動きが多く、森の妖精達の美しいバレエを存分に楽しむことができました。アクロバットな動きもあり、客席のあちこちから「おお!」と驚きの声があがっていました。劇団四季の本物のダンス、そしてミュージカルを見せることで子供たちの心に真摯に訴えかけています。

『王様の耳はロバの耳』の教訓

「王様の耳はロバの耳」における教訓は「正直に、本当のことを言う勇気」でしょう。
そして時折ナタネちゃんとニボシさんが舞台から子供達に問いかけます。「自分だったらどうするだろう?」、「自分だったら本当のことを言う?」と。「嘘も方便」という言葉があるように、「本当のことを言うべきか?」という問いかけに答えを出すことは、時として大人でも難しいと思います。子供達は問いかけられることでこの劇を単なる「おとぎ話」ではなく、自分に当てはめて考える力が養われるのだなと思いました。
また一緒に観ている大人達もふと立ち返って、子供達と一緒にこうした道徳的テーマについて考えさせられることでしょう。


クライマックス

「王様の耳はロバの耳」はクライマックスで歌合戦があり、会場のお客さんと森の妖精たちが一緒に手拍子をしながら歌う場面があります。
小さい子供達にとって長時間座りながら前を見て静かにしている、というのは大変難しいことです。舞台からの問いかけ然り、こうした参加型の演出を取り入れることによって、子供達が飽きずに物語に没入していく工夫がされているのだと感心しました。

キャスト陣

実はキャストの方も他の演目のメイン役でお見かけしたり、活躍されている方ばかりで驚きました。またこれは大変驚いたのですが、ファミリーミュージカルは終演後にロビーで出演されていた役者さん達が並び、お見送りしていただけます。
先ほどまで舞台で悪い王様役をされていた並び、本編とは違い和やかな笑顔で子供達とハイタッチされていました。
私も綺麗なバレエだなと思った霧の精さんにお礼をいい、握手させて頂くことができました。こうしたお見送りも役者さん達を身近に感じられ、また直接感動を伝えることができて良いものだと思います。
「王様の耳はロバの耳」は子供だけでなく大人も楽しめ、考えさせられるファミリーミュージカルでした。


公演データ

場所:けいはんなプラザ メインホール

出演者
王様:内田 圭
ローストビーフ卿:青羽 剛
アブラハムハム公爵夫人:秋山 舞
黒い探偵:鎌滝 健太
詩人チキン:野村 数幾
将軍ボイルドエッグ:松下 湧貴
床屋:鈴本 務
ニボシ:前田 員範
ナタネ:田原 沙綾

ウメボシ:折田 英里華
アンズ:坂本 佳帆
スモモ:立川 真衣
ナマボシ・ミリンボシ:大萬 昇太
キリボシ:笠間 大樹

陽だまりの精:小林 由希子
バラの精:柿野 麻季
蝶の精:藤本 典子
露の精:塩住 珠希
綿毛の精:深沢 萌華
町の女たち/朝焼けの精:林 美菜子
町の女たち/夕暮れの精:川口 侑花
町の男たち/木の精/兵士:市田 繕章
いばらの精/将軍:大川 健太郎
町の男たち/木の精/兵士:渕上 数馬

ペンネーム:クサカベ
好きな舞台のジャンル:ミュージカル
ひとこと:週末観劇が心のオアシス。劇団四季が大好きです。

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