舞台『真・三國無双 官渡の戦い』感想・レポ・レビュー

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舞台『真・三國無双 官渡の戦い』 人気ゲームを舞台で! 



ゲームの世界観が舞台に登場!

 昔から根強い人気の歴史書『三国志』。その派生である『三国志演義』を題材に作られた人気RPGゲーム『真・三國無双』は、シリーズ全世界累計販売数は1,800万本を超えるヒット作品です。
 その舞台化、『真・三國無双』は2017年に第一弾が上演、今回はその第二弾が東京と大阪で上演されることとなりました。
 

官渡の戦いとは 

 三国志の舞台化、といってもどの場面が出てくるか確認しないとわからないでしょう。
 三国史演義を見ても「~の戦い」というものが70ほどあり、さすが中国大陸を英雄たちが駆け巡った戦国時代だと感心してしまいます。
 その中でも官渡の戦いは、三国志の中ではまだ序盤、その中で一番大きな戦いと言えます。中原地域を支配する曹操と、河北を支配する袁紹がそれぞれ中原中華を巡っての覇権争いです。結果的には名門出身の袁紹が没落し、人のいい劉備が巻き込まれ、曹操軍は勢力を強めた重要な戦なので、舞台化するにはうってつけなのかもしれません。

ゴールデンウィークの舞台ってどう?

 東京では早くも完売の人気舞台。ゴールデンウィークの大阪公演はどうなのか、気になりながら行ってきました。
 場所は、大阪サンケイブリーゼホールです。大阪北の中心、梅田にあるブリーゼブリーゼと言うおしゃれな女の子が集うファッションビルの中の劇場です。ここでは年中、小劇団からメジャーな劇団まで、実験的な作品も上演されています。
 劇場のロビーではブロマイドやグッズ販売があり、なかなか盛況のようでした。
 ロビーには2.5次元舞台のお客さんというよりも三国志が好きという感じのご夫婦やカップル、男の子たちがいて、幅広いファン層を獲得しているようです。
 さて、席に着くと周りのお嬢さんたちが後ろを見ながら何やらひそひそ話をされていました。
 実はこの日、他の2.5次元舞台のイベントがあったそうで、後方に空席ができたようでした。ゴールデンウィークは、色んなところでイベントがあるのは当たり前ですが、一日だけという限定ならそちらへ流れることもあるでしょう。
 また、今回の真・三國無双Ⅱの舞台は東京では完売するような人気舞台と聞きました。前評判でチケットがない、と思ってこなかった人もいるかもしれません。

華やかなコスチューム、ゲームのキャラが目の前に

 ブロマイドを見て気になったのがそのきらびやかな衣装。RPGのキャラクターの色鮮やかな衣装をまとったキャラクターでおなじみの三國無双ですが、その世界観同様のきらびやかな衣装で登場してくれるのが醍醐味です。
また、2.5次元舞台ではいかにそのビジュアルにより似せられるのかというのも俳優さんの腕の見せ所。思わずキャラの名前で呼んでしまいそうです。
ですが、それだけではなくやはり俳優さんが演じられるとキャラクターに魂が吹き込まれ、目の前に現れてくれるのが最大の魅力といえます。
 

西田演出の戦国を駆け抜ける

 西田大輔さんの舞台といえば、そのダイナミックな人間描写と殺陣の見せ場が多いと言われています。
 今回は、ゲームの三国志からということなのでどういう内容になるのか、ゲームのキャラが果たして人間にできるのか、とても気になるところでした。
 ですが、舞台が始まるとそんな疑問は打ち消され、目の前には武将たちが現れ、まるで自分がゲームの中に入ったよう。
 動きのあるセットの上を飛びまわり、上手から戦う武将が現れたと思えば、左手から新手が走り込み、そして中央からさらに兵士が現れる、などどこから人が出てくるかわからないので人の動きを追うのが大変です。
 舞台は殺陣が7割くらい占めているので、演じる俳優さんたちはさぞ頭の回転が切れるんだろうな、と感心してしまいました。
 そして、西田演出ではアンサンブルさんが大活躍します。今回も右から左から現れてはける、そして可動式装置を動かす、役者、黒子、大道具さんと素晴らしい動きをされます。もはや職人芸です。

官渡の戦い 魏の軍師の微笑み

 
 物語の始まりは、魏から西晋の時代に活躍した武将、賈充(かじゅう)が一冊の本のページを巡って始まります。
 ページを紐解くと、賈充(かじゅう)が生まれる少し前の官渡の戦いで活躍した魏軍の軍師、郭嘉の和田琢磨さんが現れます。一見、温和で優しげな容姿に似合わず切れ者、曹操いわく中庸と言わしめた彼ですが、軍師として魏を数々の勝利へと導いた功労者です。ゲーム世界から抜け出たような人で、話し方も優雅な登場シーンです。
 そして魏を治める曹操の谷口賢志さん。曹操のイメージ通り、実に大人の落ち着きある男ぶりです。低い声と落ち着いた雰囲気、こういう役者さんを観ると三国志は男の物語なのだなと改めて痛感してしまいます。(観客の大半は女性ですが)
魏の武将たちを中心にお話が回るので、魏軍の将である楽進の反橋宗一郎さん、夏候惇の渡辺和貴さんが出てきます。楽進は今回、一人ミュージカルをしていたので、ああ、このお話って途中で歌も入るのだ、と思ったらまったくのアドリブだったようです。曹操の息子の曹丕の白又敦さんの立ち回りが格好よく、思わず見入ってしまいます。呂布の死後、曹操軍に加わった張遼の田川大樹さんの格好よさ、郭嘉を魏に推挙した荀彧の奥谷知弘さんもまた凛とした雰囲気で曹操軍は本当に人材の宝庫でした。
そして今回、敵役の袁紹の松浦司さん、プライドの塊である意味可哀想な人物を演じられ、それが何とも滑稽に見えます。そして母を人質に取られながらも呉のために働こうと誓い合う兄弟、孫権の川隅美慎さん、孫策の山口大地さんの強い絆、袁紹側に加勢して戦に出ざるを得ない状況になった劉備の仲田博喜さんもまた曹操と闘い、劉備の離れ、生死不明の義兄弟を想いながら曹操軍に下る関羽の磯貝龍虎さんもやはり目が離せません。
 ラストまで突っ走っていくスタイルの舞台で、終わりは男の美学を思わずにはいられないものでした。
 美しい終わり、そして次の赤壁へと続くことを予感させてくれました。

真・三国無双を楽しむには

 見ていて飽きない舞台ですが、とにかく展開が速い舞台です。武将がこれでもかというほど沢山出てきます。そのため、三国志や三国志演義を過去読破した方でも再度復習、舞台前の予習をする必要があります。 もし時間があるならゲームの方のキャラクター設定も覚えていた方がいいです。出てくる武将の名前を確認、そのとき字(あざな)も覚えておきましょう。
三国志はたくさんの本が出ています。ぜひ、一度読破されるのをおすすめします。


 

公演データ

舞台『真・三國無双 官渡の戦い』
2018年4月26日(木)~5月1日(火)
東京都 全労済ホール / スペース・ゼロ

2018年5月5日(土・祝)・6日(日)
大阪府 サンケイホールブリーゼ

構成・演出・振付:西田大輔

キャスト
郭嘉:和田琢磨
夏侯惇:渡辺和貴
張遼:田川大樹
曹丕:白又敦
楽進:反橋宗一郎
荀 彧:奥谷知弘

孫策:山口大地
孫権:川隅美慎

劉備:仲田博喜
関羽:磯貝龍虎

袁紹:松浦司
張郃:寿里

賈充(かじゅう):小野健斗

曹操:谷口賢志

アンサンブル:平野雅史、竹内諒太、石井寛人、本間健大、書川勇輝、品川拓哉、
坪田ヒロキ、秋山皓郎、高士幸也、西田直樹、今井直人、藤田峻輔、海本博章、
佐久間祐人

ペンネーム: ロンドンぱんだ
好きな舞台のジャンル: ストレートプレイから2.5次元、オペラ、バレエ、宝塚歌劇、古典芸能を見ています。
ひとこと: 生まれたときから舞台好きです。

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