舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰 感想・レポ・レビュー

感想・レビュー

舞台刀剣乱舞 悲伝 結いの目の不如帰



2.5次元舞台をご存じですか?

 マンガやアニメ、ゲーム等の2次元の原作を3次元で表現する舞台のことです。
 その中でも国内外で大人気なのが、名だたる刀剣を擬人化したゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』を原作としたストレートプレイとミュージカルという二つの舞台。それぞれ「刀ステ」と「刀ミュ」と呼ばれています。どちらもチケットをとるのが大変な大人気舞台です。
 原作である『刀剣乱舞-ONLINE-』において、プレイヤーは「審神者(さにわ)」と呼ばれます。審神者は刀剣より生み出された付喪神である「刀剣男士」(とうけんだんし)の主となり、歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」や、第3勢力の「検非違使」と各時代で戦います。その拠点となるのが「本丸」です。
本丸は審神者ごとにあるため、ストレートプレイとミュージカルは別の本丸であるという認識が必要です。

刀ステ、『悲伝 結いの目の不如帰』の京都公演と東京公演を観劇しました

 今回の出陣先は、永禄八年。室町幕府第十三代征夷大将軍の足利義輝が最期の時を迎えようとしています。そこで現れた不気味な影、それがいくつもの刀からなる「鵺と呼ばれる」異形の者でした。
 山姥切国広はあらゆる時代に現れる敵、鵺と呼ばれる者と出会います。義輝を死なせないとする敵は経験を積み重ねて強くなっていきます。
 その敵と対峙した時、三日月宗近がとった行動は意外なものでした。

 今公演は、刀ステのこれまでの集大成です。これまでの舞台の流れを知らないと、分かりにくいことが多いと思います。これからご覧になる方は、予習として初演から順番通りにご覧になることをおすすめします。

 刀ステの世界において、刀剣男士たちの歴史を守る戦いは激化の一途をたどっています。終わりの見えない戦いが続き、刀剣男士も増えましたものの、出陣続きで疲労が溜まっています。ゲームで想像すると黄や赤になっている刀剣男士が多い状況でしょう。
 そんな中、不穏な動きをするのが三日月宗近です。仲間に刃を向ける彼ははたして敵か味方か。

 タイトルに悲伝とついていた時点で幸せな本丸話にならないのは想像できました。が、予想を上回る悲伝であったことをまずお伝えしておきます。
 とにかくしんどい内容です。第一部終了時点で周りからはすすり泣きが聞こえました。終わった後には放心されている方も。

 話の中心は山姥切国広と三日月宗近、そして足利にいた刀剣たちです。とはいえ、今回は刀剣男士の出番がこれまでに比べると差がなかったたように思います。それぞれにきちんと役割があり、舞台に存在する意味がありました。

 これまでの舞台で思わせぶりな言動をしていた三日月宗近が、なぜそうしていたのかが今回ついに分かります。彼は何度も繰り返される円環の中にいました。これでやっと、初演から張られてきた三日月宗近の伏線が回収されるのです。
 延々と続く終わりのない円環。それは原作ゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』世界観そのものともいえるでしょう。

 伏線の内容とその結末については、見た人によって答えが違うと思うので詳しくは書けません。すさまじい熱量で演じられた舞台だからこそ、その場にいた空気によって感じ方も変わるでしょう。これも舞台の醍醐味だなと思います。

刀剣男士

 今回は初登場の刀剣男士もキャスト変更された方もいらっしゃいました。
 特に存在感があったのは、小烏丸役の玉城さん。刀剣の父を名乗る小烏丸は三日月にも意見が出来る刀ですが、そのたたずまいは本当にゲームから抜け出したかのようでした。片足を上げたりつま先立ちだったり、とにかくまるでずっと浮いているかのような不思議な立ち姿が印象に残ります。

 鶯丸と大包平は物語のアクセントとしてとても素敵な存在でした。鶯丸役の前山さんの飄々とした雰囲気と、大包平役の加藤さんの全部おっきい感じが場を和ませてくれたと思います。
 今回キャスト変更となった骨喰藤四郎役の三津谷さんは、儚さの中に強さがありました。体の動かし方が、これぞ脇差という素晴らしさです。
 大般若長光役の川上さんもゲームそのままでした。足の長さまで再現できています。すごい。これぞ太刀という殺陣がよかったです。

 続投キャストもキャラクターへのシンクロ率を上げて頑張っていました。燭台切光忠については彼らしい見せ場だけでなく、義伝のまとめもあったので救われました。
 初演からずっと舞台の屋台骨を支えて来た山姥切国広役の荒牧さんと、独特な佇まいを貫いた三日月宗近役の鈴木さん。このお二方がいてこその刀ステだと思います。

ライブビューイング

 ライブビューイングも行われた大千秋楽では演出と台詞の一部が変更となりました。これが何を意味するのか、今後発売の円盤ではどこまで見られるのか、まだ楽しみは続きます。とにかく情報量が多い舞台なので、配信等でご覧になる時は、集中して一気に見るのがいいでしょう。

 刀ステは脚本・演出家の色が強くでています。その世界観がお好きな方はどっぷりとはまれること間違いなしです。舞台が終わってからも、内容を考察して何度も楽しめるでしょう。
 舞台のことが舞台上だけでは解決しない展開が苦手な方には、正直あまりおすすめできません。その場合、理屈はおいといて、その場面と役者さんの熱量を楽しみましょう。

 集大成とはいえ、完結とは言われていません。これからの刀ステがどうなるのか、期待して待ちたいと思います。

公演データ

【公演期間・劇場】

明治座特別公演:明治座 2018/6/2(土)~6/6(水)
京都公演:京都劇場 2018/6/14(木)~2018/7/1(日)
福岡公演:北九州ソレイユホール 2018/7/4(水)~2018/7/6(金)
東京公演:日本青年館ホール 2018/7/19(木)~2018/7/22(日)

【キャスト】

三日月宗近役 鈴木拡樹
山姥切国広役 荒牧慶彦
骨喰藤四郎役 三津谷亮
不動行光役 椎名鯛造
へし切長谷部役 和田雅成
歌仙兼定役 和田琢磨
鶴丸国永役 健人
燭台切光忠役 東啓介
大般若長光役 川上将大
鶯丸役 前山剛久
大包平役 加藤将
小烏丸役 玉城裕規

足利義輝役 中河内雅貴
鵺と呼ばれる役 碓井将大

ペンネーム:柑橘
好きな舞台のジャンル:ミュージカル・2.5次元から小劇団・古典芸能まで
ひとこと:舞台大好きです。最近は2.5次元によく足を運びます。みんなを応援する気持ちで観劇しています。

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