ミュージカル『刀剣乱舞』結びの響、始まりの音 感想・レポ・レビュー

感想・レビュー

ミュージカル刀剣乱舞 結びの響、始まりの音



2.5次元舞台をご存じですか?

 マンガやアニメ、ゲーム等の2次元の原作を3次元で表現する舞台のことです。
 その中でも国内外で大人気なのが、名だたる刀剣を擬人化したゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』を原作としたストレートプレイとミュージカルという二つの舞台。それぞれ「刀ステ」と「刀ミュ」と呼ばれています。どちらもチケットをとるのが大変な大人気舞台です。
 原作である『刀剣乱舞-ONLINE-』において、プレイヤーは「審神者(さにわ)」と呼ばれます。審神者は刀剣より生み出された付喪神である「刀剣男士」(とうけんだんし)の主となり、歴史の改変を目論む「歴史修正主義者」や、第3勢力の「検非違使」と各時代で戦います。その拠点となるのが「本丸」です。本丸は審神者ごとにあるため、ストレートプレイとミュージカルは別の本丸であるという認識が必要です。

刀ミュ『結びの響、始まりの音』大阪公演を観劇いたしました

 今回の公演は2016年に行われた刀ミュ『幕末天狼傳』後の話です。加州清光と蜂須賀虎徹を除いた4振の刀剣男士が再出陣となりました。
 堀川国広役は、刀剣男士として初のキャスト変更(人間キャストでは源頼朝が変更済)。しかしさほど違和感なく受けとめられたように思います。声が違うこと、顔立ちが洋風になったこと等、確かに変化はありました。けれど雰囲気が近くて、さすがテニミュで主役を演じた役者同士の交代だと感動です。

 今回初登場の刀剣男士は陸奥守吉行と巴形薙刀。坂本龍馬の刀として知られる陸奥守吉行は、時代は拳銃ぜよと土佐弁で言い、銃を携えて登場します。がはははと豪快に笑うにぎやかな印象の刀です。
 巴形薙刀は、固有の薙刀ではなく、巴形という形状に分類される薙刀の集合体が顕現したもの。これまでも複数の刀の集合体らしき刀剣男士はいましたが、刀の形状によって集合体とされたのは巴形薙刀が初めてでした(その後に静形薙刀もゲームに登場しています)。つまり巴形薙刀は、過去の主を持たず、審神者が初めての主なのです。

 刀ミュでは舞台に出陣する刀剣男士が発表されると、「この刀剣男士がどう絡むのか?」と気になってきます。時代も元の主も違う人たちがいる場合、どんな話になっているのか、実際に幕が上がるまで想像するしかありません。
 今回も、新撰組の刀と陸奥守吉行の時点で舞台は幕末~明治初期だろうと想像はできました。でもここにどう巴形薙刀が絡むのか。その答えは物語が進むにつれて分かります。

 人間キャストは土方歳三が続投です。新撰組からは生き残りで名を知られる島田魁と、『戦友姿絵』の中島登。人間キャストは役名が後に出るのですが、ここで新撰組の最期を描くのだと漠然と把握できます。
 そして榎本武揚です。榎本武揚役の藤田玲は刀剣男士にくるかと思っていたので、発表時は驚きました。坂本龍馬だと思っていたので驚きです。榎本武揚は女性向け作品にとりあげられることが少ないので、何をしたのかよく知らない人も多いのではないでしょうか。

 しかし、歴史の知識がなくても楽しめるのが刀ミュ。ちゃんと舞台だけで理解できますのでご安心ください。

刀ミュのセットが豪華に

 今作品、第一印象はセットが豪華になった! です。ほぼ階段だけで頑張ってきた刀ミュですが、今回は近江屋のセットから始まり、階段も複雑化。場面転換もスムーズになりました。

 1部はいきなり近江屋事件で幕を開けです。陸奥守吉行はいつも通りといった様子。それを見た和泉守兼定は、かつての主の死を前にしてなぜそんな態度でいられるのかと疑問持ちます。巴形薙刀はただ見守っているだけです。
 この本丸の陸奥守吉行は、豪快な笑い声の中に何かを隠しているようにも見えます。それを理解しているのが長曽祢虎徹。主の死に立ち会った『幕末天狼傳』を経て、彼は一回り強くなっていました。

 全員の出陣ではお約束の自己紹介曲『刀剣乱舞』を歌います。『幕末天狼傳』は打刀5脇差1でしたが、今回は打刀4脇差1薙刀1と大きさも使い方も違う刀が揃っていて華やかです。
 出陣先は慶応4年、敵の狙いは土方歳三。隊長は巴形薙刀。こうして始まるのが、刀の時代の終焉の物語です。

ミュージカル『刀剣乱舞』結びの響、始まりの音でのサプライズ

 いつも驚きに満ちている刀ミュですが、今回一番びっくりしたのは、人間キャストが歌ったことです。これは藤田玲を選んだ意味があります。彼が歌いだした途端、違うミュージカルが始まったかと思いました。そのパフォーマンスは圧巻の一言です。その歌で、存在で、新時代が幕を開けたのだと伝えてくれました。

 刀剣男士にとって敵である時間遡行軍にも驚かされました。彼らは今回、土方を生き残らせるため、土方の部下になります。すると、土方の愛刀である和泉守兼定と堀川国広は、元の主の命を狙う立場になってしまうのです。
 葛藤する和泉守兼定と堀川国広の成長も、今作の柱のひとつです。

 歴史を守るため、元の主に刃を向けなければならない刀剣男士。そして感情を持ち始める時間遡行軍。刀の出番が終わろうとするこの時代の話に、物語を持たぬ巴形薙刀は必要だったのだととても納得のいく終わり方をします。

ミュージカル『刀剣乱舞』結びの響、始まりの音2部の感想・レビュー

 そして2部の始まりです。1部の内容はリセットし、うちわとペンライトを用意です。
 これまで刀ミュの2部曲は歌もダンスも同時にやると難しいものばかりでしたが、今回はそのあたりがとても改善させたように感じました。ダンスに色々と取り入れたり、新しい曲調を用意したりと、工夫されていると思います。
 真剣乱舞祭、通称「らぶフェス」で披露された曲も、歌う刀剣男士が違うとイメージが全く違って新鮮でした。

 『幕末天狼傳』の続投組はみんなレベルアップしていますが、特に和泉守兼定役の有澤くんの成長が素晴らしかったです。いい顔をするようになりました。
 巴形薙刀役の丘山さんはさすがダンサー、さばくのが大変そうな衣装も華麗に扱っていて美しかったです。同じ薙刀でも岩融とはまったく違う動きでしした。抑えた控えめな演技もよかったです。
 陸奥守吉行の田村くんは、『幕末天狼傳』では階段を動かすスタッフでした。そこから舞台に立てた彼は、キャラクターを大事に丁寧に演じていたと思います。個人的にはもっとできるのではないかというポテンシャルを感じさせてくれたので、今後に期待です。
 堀川国広役の阪本くんは久しぶりの舞台でしたがブランクを感じさせず、まるで『幕末天狼傳』からいたように馴染んでいました。歌のうまさが安心をくれました。

 いつも新しい切り口で刀剣男士の物語を見せてくれる刀ミュ。次はどの刀剣男士が、どこへ向かうのでしょうか。想像してみるのも楽しいです。

 今公演はDMM等の配信で見られます。できれば『幕末天狼傳』、『結びの響、始まりの音』とご覧になってください。

公演データ

【公演期間】

東京  2018年3月24日(土)~4月1日(日)
大阪  2018年4月8日(日)~4月15日(日)
東京凱旋  2018年4月20日(金)~5月6日(日)
【劇場】
東京 日本青年館ホール
大阪 梅田芸術劇場 メインホール
東京凱旋 TOKYO DOME CITY HALL

【キャスト】
大和守安定役 鳥越裕貴
和泉守兼定役 有澤樟太郎
陸奥守吉行役 田村心
堀川国広役 阪本奨悟
長曽祢虎徹役 伊万里有
巴形薙刀役 丘山晴己
土方歳三役 高木トモユキ
島田魁役 辰巳智秋
中島登役 新原 武
榎本武揚役 藤田 玲

ペンネーム:柑橘
好きな舞台のジャンル:ミュージカル・2.5次元から小劇団・古典芸能まで
ひとこと:舞台大好きです。最近は2.5次元によく足を運びます。みんなを応援する気持ちで観劇しています。

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