劇団四季ミュージカル『ウィキッド』感想・レポ・レビュー

感想・レビュー

『オズの魔法使い』のストーリー・ゼロとして作られたミュージカル

『ウィキッド』は『オズの魔法使い』のアナザー・ストーリーとして作られたお話です。
『オズの魔法使い』には、東の良い魔女と西の悪い魔女が登場し、主人公のドロシーが、西の悪い魔女をやっつけるというストーリーですが、この2人の魔女の生い立ちについて描かれたのが『ウィキッド』です。

実はこの2人の魔女、少女時代は親友だったという事が明らかになり、なぜ良い魔女、悪い魔女として別々の人生を歩む事になってしまったのか、という事が、舞台を観ると明らかになっていきます。



『ウィキッド』を観て思った事・感じた事

とにかく音楽が素晴らしい

実は私、ウィキッドは舞台を観るよりも先にCDで音楽を聴いたのが初めてだったのですが、ストーリーを知らないのに、その音楽の魅力に取りつかれてしまいました。
そして「これはもう是非舞台を観なければ!」と東京在住にもかかわらず、北海道まで出かけていったのです。

劇中には名曲がいくつも登場します。
後に「悪い魔女」になってしまうエルファバが歌う「魔法使いと私」や「自由を求めて」などの圧倒的な歌唱力と迫力、後に「良い魔女」になるグリンダが歌う「ポピュラー」や他の数々の名曲、そして最後に2人で歌う「あなたを忘れない」など、名曲だらけです。

勿論主役の2人が歌う曲だけではなく、アンサンブルが歌う「エメラルドシティ」をはじめとする数々の曲も魅力満載ですし、全体通して、どれもこれも耳に残る曲ばかりでした。

そして「ウィキッド」の音楽は、ただ素晴らしいだけのひと言では足りないくらい緻密に作られています。
エルファバとグリンダが、それぞれ同じメロディで好きな男の子の事を思いながら歌う「私じゃない」や、グリンダが3曲の歌の中でそれぞれ歌う同じメロディの歌詞が「できるわ、かならず、できるわ」から「できるわ、ふたりなら、できるわ」そして「できない、わたしには、できない」に変わりゆく演出など、効果的に音楽で布石を打っていて驚きました。

何ができるのか、できないのかは、本編を観て確認してみてくださいね。


グリンダとエルファバ、2人の女の子の数奇な運命に考えさせられました

音楽は本当に素晴らしいのですが、ストーリーに関しては、ものすごく重くて暗くて悲しくて、決してハッピーエンドとは言えないフィナーレに、色々と考えさせられました。

「外面を良くしておいて人気ものになっておけば全て上手くいくのよ」と楽しげに、得意げに歌い上げたグリンダが、「良い魔女」に仕立て上げられて「良い外面」でガチガチに固められた人生を送る事になるものの、その人生を受け入れる覚悟をもって腹をくくります。

対して、自由と正義をひたすらに求めて、自分自身を偽らずに正直に生きる道を選んだエルファバは「悪い魔女」に仕立て上げられ、多くの人に憎まれ「殺せ!」とまで言わせる事になってしまいます。

これ、一体全体どちらが幸せなのだろうか・・・
と、深く考え込んでしまいました。

グリンダは「良い子ちゃん」である事を取ったわけで、一般的にはエルファバの芯のある行動や生き方に「強さ」を感じる方が多いのかなぁ、と思うのですが、個人的にはグリンダもめちゃくちゃ強い子だと思ったんですよね。

見方によっちゃ、エルファバは自分勝手に生きて、協調性が無いワガママな子になってしまうし、グリンダは大人な対応が取れる子、社会性のある子、とも取れるし・・・

それでいて、グリンダもエルファバも互いの事をとても大切に思っていて、だから私はどちらが好きとか、どちらはいけ好かないとか、そんな風には全く思いません。

問題なのは、周りのガヤたちなんですよね・・・

結局のところ「良い魔女」や「悪い魔女」に仕立てたのは、周りの大人たちだったので、ガヤがやいやい騒いだために2人の運命の歯車が狂ってしまったわけです。

本当に、世論とか、いじめとか、世間体とか、そういったものがいかに恐ろしいものかという事がずっしりと伝わってくる重たいミュージカルでした。

音楽は、本当に、素晴らしいんですけどね・・・


公演データ

〔上演劇場〕
北海道四季劇場

ペンネーム:emiglia
好きな舞台のジャンル:ミュージカル
ひとこと:劇団四季や宝塚が大好きです。舞台だからこそ感じられるキャストさんの息遣いが観劇の魅力です!

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